近年、積立nisaを利用した現金化が増えており、その税金に対する扱いや負担などの知識を求める人が増えています。具体的にどんな現金化が行えるのか、積立nisaとはそもそもにおいてどのような投資方法かなど、具体的に現金化するための手法として認識されています。しかし、所得税や課税制度が複雑に関係してくるため、積立nisaで現金化したいと思ったとしても税金がネックでそれができない人もいるでしょう。そこで、積立nisaで現金化を行う際の特徴や税金の在り方、現金化する上でのメリット・デメリット等について紹介します。
積立nisaが現金化に向いている理由
積立nisaは現金化による資金を引き出せる仕組みが整っています。nisaは投資に連なる手法であるため、利用を避ける人も多いですが、実際には幅広く利用できる種類の積み立てに該当します。そこで、実際に現金化する際の概要や積立nisaの特徴などについて最初に説明します。
積立nisaとは
積立nisaは、これまであった一般nisaの別パターンとして2018年から始まった投資手法の1つです。積立nisaの特徴は、税金免除のうえで一時的な資産を運用できる積み立て投資できること。少しずつ積み立てて投資できるため、投資経験のない方でも簡単に取り組みやすいという側面があるため、ここまで利用の幅を増やしてきた訳です。
積立nisaの資金管理・現金化の概要
積立nisaは投資の一部であるため、通常の普通預金口座で管理するのではなく、証券会社による専用の口座開設が必要で、そこに資金を移して積み立て投資を実行します。その際に各種手続きや申し込みが必要となるため、積立nisaを今から始めて数日後に現金化するという手段は取れません。しかし、その環境さえ用意されていれば、時期やタイミングによらず現金化できるという特徴は多くのメリットがあります。主な投資先は、投資信託やETFへの投資が該当します。申し込んだ証券会社によって設定されている手数料は異なりますが、おおむね手数料のパーセンテージが決まっていて、手数料に設定できる上限の中で証券会社によって決められています。手数料などの違いは証券会社によるところが大きく、投資信託は販売手数料0%ですが、他の手数料では、税金とは別に費用が発生することがあります。
積立nisaは現金化できる
積立nisaは専用の口座を用意して、そこに積立を行うための資金を用意するため、投資資金のやり取りは口座を通してすべてが行われます。その際に、積立nisaは現金化として、積み立てた資産を取り崩すことが可能です。現金化できる資金の規模は決まっておらず、積立を毎月や一定のペースで行ってきたものを現金化する場合に限っては、その損益を含めた額を口座に取り出すことができるのです。しかし、積立nisaの場合、上限金額が決まっているため、引き出す・解約などで大きな金額は動かせても、いきなり大量に投資して短期間に利益を得て解約するという手段がとりにくいでしょう。そのため、現金化としては中・長期的な手法であるということです。積み立てだからといって、予定していた期間まで運用しなければ解約できないというものではなく、契約に縛られた貯蓄型保険やソーシャル・レンディングなどとも性質が異なります。
クレジットカード現金化との違い
社会の中で現金化はさまざまな意味で使われています。その中でもクレジットカード現金化と積立nisaの現金化では大きな違いがあります。
まず、クレジットカード現金化は、カード会社が定めるショッピング枠を現金にするために商品を買って、底から手数料を引いた分を換金率で計算して口座に振り込み現金化します。ところが、積立nisaは貯蓄のような積み立ての形式は取っているものの、実際には金融商品に投資して積み立てを行います。両者の最大の違いは、積立nisaが正式に金融商品と認められているのに対し、クレジットカード現金化はキャッシュバックなどの古物買取の形式を取っていて、投資などの金融には直接関わらない取引であることに尽きます。したがって、積立nisaは金融取引として国が認めた正式な方法であり、その中で現実的な現金化のできる手法でもあることでしょう。
積立nisaの現金化に違法性はない
先の金融商品である点に加えて、積立nisaの現金化は、利用者・業者ともに違法性はないことが大きいでしょう。特に業者側(金融商品提供者・投資先の企業)の違法性がないという点は重要です。クレジットカード現金化の場合、利用する相手によっては悪徳業者であったり、脱法による違法性が存在するところも中にはあります。しかし、積立nisaで現金化を利用することにそう言ったトラブルや問題は一切発生しません。
プラスマイナス0で考えられる
積立nisaの特性の一つに、現金化するときの損益を気にしなくても良いということが挙げられます。たとえば、クレジットカード現金化で手数料や換金率が生じたのに対して、積立nisaで現金化する場合には、余計な手数料や換金率を考慮しなくて良いでしょう。プラスであれば現金化も100%よりプラスになり、マイナスでも状況によっては70~80%を確保できるのです。総合的に投資の結果を見たときに、引き出した際のプラスマイナス0で長期的な視点を持って現金化を計画できるのです。
nisaと積立nisaの違い
積立nisaは先にnisaが一般化して始まったものですが、それぞれには若干の違いがあります。まず、年間上限が異なる点でしょう。積立nisaの場合、上限が40万円と決まっていて、それ以上の投資はできません。nisaの場合はその3倍で120万円です。ただし、積み立て以外も含まれてしまうので、買い付けか積み立てかを選ばなければならないというデメリットがあります。
また、上記に関連して、積立nisaは買い付け対象外として選べる点です。「積み立てのみ」とはっきり決まっていて、それ以外を選択してしまうような可能性が一切残らないこと。どちらも20歳以上の日本人が対象であることは投資の条件とし両者て同じラインで定まっています。
積立nisaで現金化するメリット
積立nisaには、現金化に利用することのメリットが明確にあります。そこで、積立nisaのメリットについて特に押さえるべき項目を解説します。
非課税で積み立て・現金化できる
投資にはかならず税金が付いて回ります。増大した利益ほど約2割の税金負担は大きなものであり、実際に短期的な利益で投資の利益を得たならば8割しかそれを回収できないという現実に直面します。しかし、税率負担を減らす制度が生まれたことで、一般の人にも積み立て型の投資信託や投資が行いやすくなったのが2010年代後半のことです。今回の積立nisaは、最大20年(nisaは5年間)税金がかからないため、急速に利用者が拡大しているのです。言い換えれば、少額投資非課税制度として定着しているということです。本来、金融商品で投資から利益を得た際にかかる税率20.315%の税金が一定期間、非課税対象なことが注目されています。制度の原案は、イギリスの貯蓄口座を日本向けにしたものとして、雑費所得は税金が高い日本にとっては大きな制度的な柱ともなっているでしょう。
ちなみに、投資における税金は最終的な確定利益に対して向けられます。例えば、口座を通して、資金を移動し、投資をして利益を得る。その後、引き出して確定した利益に対して税金が発生する。それが基本的な納税における考え方です。つまり、金融商品の投資銘柄の中で、積み立てを選んだ場合に税金が発生するのは、利益が確定する解約時や現金化による引き出しが行われた時点となります。そして、積立nisaは非課税であるため、20年以内であれば税金は1円もかかりません。
例えば、2020年に積立nisaで積み立て投資を開始して、15年経過の2035年に解約したとすれば、元本80万円の最終利益100万円に対して、本来税金が20万円かかったところが積立nisaでは0円となります。20万円を節税できるというのは非常に大きなものがあります。たとえ20万円分の損失が出てもそれが税金分とすれば大した痛手ではなくなり、プラスとなれば税金で取られるはずだった分を利益として換算できるのです。ただし、後のデメリットの項目で取り上げるように、通算できないことには気をつける必要があるでしょう。
途中解約でそれまでの成果を引き出せる
以前から、株式には「るいとう」と呼ばれる小額ずつ投資する手法があります。これは、形式的には積み立ての手法をとり、最終的に売りを行って利益を確保するスタイルです。積立nisaにいては、個人の判断によりいつでも途中で解約できることが確約されています。10万円を投資したとしてそれを毎月行う。10ヶ月のところで100万円となりますが、それを利益とあわせて途中で解約して資金に還元できるのです。つまり、積み立てた分をいつでも現金化して、投資と現金を繰り返せるというメリットがあります。
プラスの成果があれば解約を早めて表面上は短・中期的な取引に変更することができるでしょう。教育費や生活費など、いつ現金が不足して必要になるか分からない時代です。定期預金を崩すこともできない人も多いため、現状の中でやりくりする人もいますが、積立nisaにはその現金化したときの短所が少ないため、通常の預金や貯蓄型の商品とはまた違った現金化できる対象として扱うことができるのです。
時間と判断の節約が可能
積立nisaを利用した現金化の最大のメリットは、時間を節約できることにあります。積み立てを始める初期には多少の手続きなど手間がかかりますが、始めてしまえば、大した時間が取られることもなく、スムーズに積み立てと現金化のどちらも可能でしょう。そこで、メリットとしてあるのが「天引き」による無意識の利益化です。口座から一定額引き落とされるため、いつのまにかお金が貯まる仕組みを構築できます。現金化する際に投入する金額と引き出せる金額が近い、あるいはイコールのため、現金化を現金化としてのみ使うという意識が普通は強くなります。しかし、積立nisaは投資した金額をその場で現金化するということはなく、以前から投資していた積み立て分を引き出すときの膨らんだ金額を手元に引き戻すことになるため、投資の取引で大きな利益が実際に得られなくとも引き出した現金化分は資金が肥大したように感覚的には見えるのです。
また、時間の節約という点では、広く知られるのが時間を分散できること。積み立ては買い付けとは違い、自分で判断する必要がなく一定期間に口座から投資を行うため、自動売買のような性質を同時に持ち合わせています。そのため、取引に時間が取られることもなく、一度に資金を投資するわけでもないことが時間分散のメリットに働くのです。加えて、判断することの労力や手間といった一見目に見えないものまで節約できることです。投資の買い付けは基本的にタイミングや判断が難しいものも少ないため、時間だけでなく、労力も伴います。そのようなその判断に使う時間が必要ない積立nisaは、タイミングか決まっていて考える必要がなく、取引そのものは手間がかからないのです。時間の切迫している現代では、何かと無駄な時間を排しようとするけれど、それがかなわないことも少なくありません。資金だけ手元で腐らせてしまう人にとっては、勝手に仕事をしてくれる積立nisaはリスクが小さく、時間や手間の消費も最小限にとどめることが可能でしょう。
価格の乱高下に自動対処できる
買い付けの投資では、価格の安い時に買い、価格が高くなると売るというのがセオリーです。しかし、突然の現金化まで視野に入れた際に、価格の上下を見極めた上でジャストタイミングという訳にはいきません。上手く価格が上がったとしても現金化のタイミングではないことがあるからです。しかし、現金化を必要としている人にとっては、そのわずかな上下動はもはや意味を持ちません。必要なのは資金であり、わずかな利益ではなくなるからです。そこで、積立nisaは、「平均買いのコストが下がる」というメリットがあります。本来、投資において価格の見極めは重要で、短期間で大きな利益を得ようとするデイトレーダーなどにとっては、時間の少しも目を離せず、売買中やその判断の期間は取引をする必要があります。それに対し、積立nisaは、口数あたりの価格が平均化できるのです。
具体的な例として、1口を毎月のペースで5万円と決めていたとします。すると、口数の価格が半分まで安くなった時には、5万円で2口買えることになりますので、価格が安くなると基準点より多く買いをすることになります。反対に、価格が上昇して、1口10万円となれば、5万円では0.5口までしか買えないので、口数は減り、買い付けの数が抑えられます。つまり、高い時には少しの口数、安い時には多い口数になる仕組みが根本としてセッティングされていることになります。これにより、難しい売り買いの相場判断をしなくても勝手に口数判断が行われ、投資に疎い方でも自然と対処できるのです。さらに、上記から導かれる点として、初心者が利用しやすいという面には、個人で判断して売買する投資のような難しさがないというメリットが含まれているのです。
余剰利益は再度投資に使える
現金化だけを目的に行う現金化などでは得られない投資の長所があることもメリットとして欠かせません。理由は、クレジットカード現金化は最初の利用から終了までのスピード感に優れていますが、再投資という概念は見られません。特に繰り返し元手を現金化することで最終的な利益が減少してしまう点は、現金化の目的では考えられることが少ないのです。これに近いものとして、リボ払いで買い物を行い、一杯になると別のカードで買い物をする。借金を返すために、繰り返し借金を繰り返して多重債務で破たんするなどの例が挙げられるでしょう。つまり、繰り返してもそれは利益に繋がらず、損失が累積するという考え方です。積立nisaのメリットは、長期的に繰り返し返済に利用することで損失の多い現金化の状況を脱して、再度投資にまわせるという利点があることです。
例として、クレジットカード現金化で30万円を現金化する場合と積立nisaで30万円を利潤込みで手元に戻す場合を比較しましょう。クレジットカード現金化で30万円を換金・還元率85%で可能だとして、手数料を引いた22万円が手元に換金できたとします。これをもう一度、残った分の10万円をカード請求書の支払いに使い、現金化を再度10万円で行ったとします。すると、最初の損失8万円+2回目損失3万円(金額の数値は仮定)で11万円が損したことになります。積立nisaの場合、換金率はなく、手数料のみであるため、マイナス修正などを入れても(下落で大損しない限り)1~2万円の損失のみです。それを再び余った10万円で投資に加えても信託の場合は購入手数料も発生しないため、実質的に損失なしで再投資に回し、後に現金化するための資金として使えます。両者比較の上で、積立nisaの損失抑制は現金化をする上で大きなメリットでしょう。
積立nisaで現金化するデメリット
積立nisaにはさまざまなメリットがありますが、同時にデメリットも存在しています。ここでは、現金化する際のデメリットとも合わせて説明します。
20年の期間が過ぎると課税される
積立nisaは制度設計上の制限として、20年を期間とした非課税施策が行われています。逆に、20年が経過すると投資していた積立nisaの利益には、税金が発生します。21年経過した段階で改めて投資した資金を取り出して現金化すれば、通常通り2割の税金が取られます。これは期間内で取引することの優劣が生じることを意味します。したがって、積立nisaは20年前後のどちらで現金化を行うかで、税金上のメリットとデメリットがどちらも存在することとなります。本来的に税金が発生するのが当たり前のため、それが損に直結する訳ではありませんが、最終的な収支を判断した時に20年経過の場合は他の投資における税金よりもマイナスが大きいのです。その理由は、次の項目の損益通算ができないことに関係しています。
損益の通算や繰越ができない
損益通算とは、株などの投資で損益を決定する時に最終的な利益を通算で計算するという方式のことです。例えば、ある投資口座での利益はマイナス1万円、別の口座の利益はプラス2万円の最終利益がプラス1万円であった場合、それは損益通算で1万円プラスに対して税金が発生するというものです。しかし、積立nisaはそれが適応外となるため、20年経過した段階でそれぞれに税金が発生します。もちろん、2018年に始まった制度であるため、現在のところは税金のマイナスが発生する事態は当分訪れないでしょう。あくまでも仮定としては、損益による税金の負担の将来があるという認識で十分です。
無理な投資金額で破綻する
積立nisaでよくある間違いの1つに、銀行口座預金やタンス貯金と同列視してしまうことです。実際、銀行に預けたお金は銀行の規定にもよりますが最低限の保証が日本銀行の補償があります。銀行がつぶれた場合にも、他の銀行がお金を出し合った日本銀行バックアップによる支払いが可能です。しかし、積立nisaは単純な預金システムではなく、金融商品への投資に該当するため、たとえ積立方式の商品であったとしても最低補償などは行われません。金融商品に投資するのと同じ元本リスクの責任が生じます。補償のないリスクは、デメリットですが、もう1つのデメリットもあります。それが、投資金額過多による破綻です。ライフスタイルや収入を考慮せずに現金化したときの利益だけを求めて高額の投資を続けていると、資金破綻が起こるだけでなく、失敗した時に取り返せなくなるというデメリットがあります。そのリスク自体、積立nisaは買い付けの金融商品よりも低いですが、積立は金額が大事で注意が必要です。
買いたいタイミングで買えない
積立nisaの最大のデメリットは、買い付け商品が対象外であることから、自由な買い付けができないことです。銘柄の選択は自由に行えますが、買いたいときに買い付けを行うことができません。株式投資でよく見られる売り買いは、タイミングを計り、買い付け金額を設定して行われます。しかし、積立nisaは積み立て以外の商品が排除されているため、原則的に買い付けではなく、定期の積み立てを前提としています。したがって、価格が安いから買い付けをジャストのタイミングで増やしたり、減らしたりすることが自由にはできません。積み立てペースはもちろん選べますが、それでも1日に何十回も売り買いをして利益を出すといった短期の運用には向いていません。現金化としてもデメリットが明確で、積み立てた中での現金化を実施するという制限が付きます。
買える銘柄の種類が少ない
上のデメリットとあわせて、積立nisaの現金化に共通するデメリットは銘柄の数が少ないことです。積み立てに不適切な銘柄はあらかじめ除外されていることや積み立ての銘柄そのものが買い付けの銘柄に比べて少ないことが原因です。銘柄が少ないことがなぜデメリットであるのかは、それが必然的に選択肢の幅を狭めてしまい、買い付け銘柄であれば本来利益を出せたものがそれさえ難しくなるという状況が生じてしまうことでしょう。
所得控除されない
iDeCoにある節税対策が使えないこともデメリットの1つです。積立nisaの口座内にある資金は所得控除の対象とはならず、所得税の課税対象として扱われます。投資における税金は、一般的に利益に対して生じるものであり、その資金が所得税対象として得られるサラリーマンの収入や自営業者の年商などによるものだった場合、その資金に対して所得税が発生します。投資としての課税はないが、所得税は発生するという税法上の区別も理解したうえでの投資が必要となります。
税金負担が少なくて済む積立nisaの現金化
今回は積立nisaの現金化における税金の扱いやそれに関連した現金化のメリット・デメリットについて紹介しました。中でもメリットとして、積立nisaは従来の現金化や物のオークション売買で発生する雑費所得税や投資の課税がなく、積立投資が期限付き非課税対象となることでしょう。スピード感や積み立て投資環境の構築などを比べるとクレジットカード現金化には劣りますが、税金の負担や損失などをあわせると多くのメリットがある現金化の方法です。