交通機関で使える有名なsuicaは残高を現金化できる数少ない電子マネーです。suicaカードやモバイルsuicaにチャージした残高を使って購入したグリーン券・特急券を払い戻すなど、クレジットカード(ビューカード)やチャージ金額の残りを現金化する方法があります。今回の記事では、suicaの残高を現金化する方法について紹介します。
suicaの残高を現金化する方法
suicaの残高を現金化せざるを得ない人にとっては、そうすべき事情があります。使わないカードから残高を現金として取り出したい方やすぐに現金を用意したい方など、理由はさまざまでしょう。人によって現金化するときのシチュエーションやベストな方法があります。
現金化が必要になる場面(シチュエーション)
世の中にはさまざまな電子マネーが登場しており、現金化としてよく知られているのがsuicaの残高です。suicaを現金化するのはどのような場面かについて挙げてみましょう。
・場面2.suica残高は残っているが、手元に現金が無いとき
・場面3.別のカードにチャージし直す(suicaの別カードや他の電子マネーに残高を移したい)とき
この3つが現金化のシチュエーションとしてよくあるケースです。
suicaの残高を現金化する4つの方法
suicaの残高を現金化する方法には、主に4つの手段があります。
2.返品
上の2つの方法以外にも「チケットや商品を購入しての転売」「ギフト券の購入・買取をする」、「現金化業者の利用」などがあります。いずれにしても、払い戻しにはsuicaカードを持っていることが前提です。suicaやsuicaカードについてその特徴や詳細についてまずは押さえましょう。
suicaとは
JR東日本が提供している交通用電子マネーの1つがsuicaです。鉄道やバスなどの交通機関での支払いに使えて、なおかつ買い物の決済にも使える便利な電子マネー機能を持つICカードです。交通電子マネーで取り扱われているPASMOやICOCAの使える他のエリアでもsuicaが使えます。便利な点として、券面情報を変更可能なリライト機能や乗り越しでの自動清算、自動券売機によるチャージ、盗難時の再発行など所持する上で多くのメリットがあります。
suicaの残高はチャージした残りの金額
現金化では、suicaの残高(SF)を用いて現金に換えます。残高とは、suicaカードにチャージした残りのことです。残高0円に5,000円分をチャージすれば、そのカードの残高は5,000円です。交通機関の乗車で使った場合、改札で自動清算された後に合計残高から引かれた金額分が、現在のカード残高として電子データに残ります。
例えば、先ほどの5,000円から1,000円の乗車賃を差し引いた分が残高4,000円として、それが現在の残高です。つまり、チャージして残高を増やした後、使って減らした残りを現金化の対象として扱い、現金化業者や払い戻しなどで残高をキャッシュとして手元に引き出すのです。4,000円なら手数料などを引いた3,000円と数百円を現金化できるでしょう。
カードは全部で3種類
一般的にsuicaはカードを購入して、乗車券の代わりに使います。そんなsuicaカードには全部で3種類あります。
(1)suicaカード(無記名式)
誰でも利用可能なsuicaの無記名式カードのことです。ICカードを搭載していて、タッチすると自動改札機で乗車賃の自動清算が行えます。多機能券売機やみどりの窓口などで入手することが可能です。ただし、初回に500円の預かり金を支払います。
(2)My suica(記名式)
suicaの記名式カードとして発行できるのが「My suica」です。カードを入手する際にみどりの窓口を通して名前や生年月日などを登録することで、個人のカードとして使用できるのが特長です。個人の名前を登録するので、登録してある名前の人以外は使えません。盗難時に再発行できます。
(3)suica定期券
定期券の機能を持たせたカードのことをsuica定期券と呼びます。(1)suicaカード(無記名式)や(2)My suica(記名式)に定期券を追加してsuica定期券を付帯することも可能です。残高は自動で引き継ぐため、現金化の際の払い戻しなどにも問題なくsuica定期券を利用することができます。定期券を付け加えるのではなく、多機能券売機やみどりの窓口で定期として直接購入する場合や無記名式のsuicaカードから変更する場合は、記名式のように個人情報を登録する必要があります。
・小児用suica
(2)My suica(記名式)と(3)suica定期券には、それぞれ小児用suicaが存在します。大人用が適用される小学校の卒業までの子どもの運賃に合わせて改札で自動清算される仕組みで、有効期限の範囲内で使用できます。
・イオカード(磁気式)
2005年に販売終了とした磁気式のプリペイド乗車カードのことです。自動改札機で使えなくなったことで手数料無料の払い戻しが行われています。
・suicaイオカード
2007年3月17日より前に販売されたプリペイド乗車カードです。記名式や定期券機能の無いカードを総じてそう呼んでいます。
以上に挙げたsuicaカードのほかに、スマホで利用できるモバイルsuicaなどもあるので、モバイルsuicaについては後ほど詳しく説明します。
suicaの現金化ができる払い戻し
払い戻しとは
払い戻しは、suicaカードの残高を利用して現金化できるJR東日本における返金制度のことです。残高は一度チャージすると取り出すことはできません。しかし、カードを返却して払い戻しをすれば、残高を現金として取り出すことが可能です。例えば、2万円の残高を残していれば、計算は残高の「20,000円」に手数料を引いてデポジットを加えた分が払い戻しの金額として(20,280円が)返金されます。
そして、鉄道会社が正式にsuicaの払い戻しの条件や手続きを定めているので、現金化に多い裏技的な方法ではなく、公式に現金に換えることが認められている方法でもあります。suicaを利用する予定のなくなった方や急遽現金を手元に用意したい時に使える最終手段です。ただし、払い戻しにはカードの返却が含まれていて、残高だけを取り出せないルールのため、記名式suicaカードやsuica定期券の場合は返金が最後まで行われるとそのカードを二度と取り戻すことができません。
デポジットの仕組み
デポジットは最初に購入した時に払った預かり金のことです。500円を最初に払い、払い戻しでカード返却の際に預り金の500円はデポジットとして返還される金額に追加されます。例えば、残金が1万円あればデポジットを500円追加した10,500円から手数料が引かれて返金されます。
払い戻し手数料
払い戻しの際には必ず、手数料が発生する仕組みです。suicaカードの払い戻し手数料は220円と決まっていて、支払われる残高から引かれます。先の2万円の残高の場合に20,280円が返金される理由は、残高に手数料を引きデポジットを足した金額が返金の対象として計算されるためです。
<計算式の例>残高20,000円-手数料220円+デポジット500円=返還額20,280円
また、残高が220円以下は、デジポット500円だけを返金する仕組みです。残高0円~220円までは、デジポットの500円だけが返ってきます。
suica定期券の払い戻し
suica定期券には基本的に定期券とsuicaカード機能の両方が付帯しています。そのため、定期券とは別にsuicaの残高がカード内に残っていることがあります。suica定期券を払い戻しする手続きをしたとき、定期券の払い戻しとsuicaカードの残高を受け取ることができます。パターンとしては、「パターン①両方とも払い戻し」、「パターン②定期券のみ払い戻し」、「パターン③suicaカード残高だけの払い戻し」の3つです。
パターン①両方とも払い戻し
定期券の期限から算出した金額とsuicaカードのチャージされた残高を両方足した1枚のカードから引き出せる額をすべて残金として取り出すケースです。定期券部分が1万円でチャージ残高2万円の場合、3万円が取り出す対象となります。そこから手数料を引いて、デポジット分を足した金額をみどりの窓口で返金します。
パターン②定期券のみ払い戻し
「My suica(記名式)」suica定期券の定期券部分だけ返却するケースです。学生が学校を卒業した後や会社を辞めて通勤・通勤にその区間の定期券が必要なくなったときなどに払い戻しがされます。方法は、定期購入金額から払い戻しとなる分を定期券の期間や区間から計算して返金することです。定期券のみ払い戻しをするポイントは、suicaカードがそのまま使えて残高も残ることにあります。定期券は今後使わないが、suicaカードとしては使い続けたい場合に払い戻しを定期券に限定することが多いでしょう。
別の見方として、残高は残るが定期券のみを払い戻した場合、これまで区間で使えていた乗車のための定期券が使えなくなります。
パターン③suicaカード残高だけの払い戻し
パターン②の定期券のみ払い戻しとは反対に、suicaカードの残高だけを払い戻して現金にする方法もあります。定期券部分は残すため、そのまま通勤や通学に使えます。ただし、suicaカードとしては使えなくなります。
suicaの現金化を券売機で換金することは不可!
券売機では返金できない?
券売機はカードの更新や発行などができます。しかし、券売機による払い戻しの返金はできません。みどりの窓口を訪れて手続きをする必要があります。一部の改札窓口では払い戻しにも対応しているが、すべての窓口で対応可能な訳ではありません。
suicaは券売機でチャージする?5つのチャージ(入金)方法
suicaカードには5つのチャージ方法が用意されています。
(1)現金チャージ
1.自動券売機
2.多機能券売機
3.のりこし精算機
上記の券売機で現金をチャージすることができます。上限20,000円まで可能で、繰り返し入金できるのが特長です。金額指定は500円、1,000円、2,000円、3,000円、5,000円、10,000円の全部で6種類あります。
現金チャージは券売機やみどりの窓口のほかに大手コンビニ各店のレジで対応しています。セブンイレブンやローソン、ミニストップ、サークルKサンクスなどの有名な大手4コンビニだけでなくNEWDAYSやデイリーヤマザキなども該当します。
(2)クレジットカードチャージ
ATM「ビューアルッテ」や「多機能券売機」ならクレジットカード決済でチャージ可能です。
(3)ポイントチャージ
ポイントを使ったチャージは、貯まったJRE POINTをsuicaカードにチャージして利用できます。「JRE POINT WEB」でチャージの申込みをしたり、ATM「ビューアルッテ」でチャージも可能です。
(4)オートチャージ
駅の自動改札機や簡易suica改札機にタッチすることで自動的にチャージする方法です。suicaカードには、クレジットカードが一緒になった「ビュー・スイカ」カードがあり、オートチャージには、ビューカードが必ず必要(一体型、あるいはsuicaのないビューカードの紐付け必須)です。
(5)パソコンからチャージ
suicaインターネットサービスを利用してパソコンからチャージすることが可能です。ただし、このサービスは2020~2021年の間に各種サービスが終了するため終了後は他の4つの方法のみチャージ可能です。
suicaカードで切符を購入する
現金化をするときに、払い戻しの解約はしたくないが残高を返金したいときに使えるのがsuicaカードで切符を買う方法です。みどりの窓口でsuicaの残高を乗車券購入には使えないため、自動券売機を使ってsuicaカードの残高から切符を購入します。
suicaの現金化に返品を使った手法は効果的?
suicaカードを払い戻し(返金)以外で現金化するには、返品を活用した方法があります。現金化のための返品とは、コンビニや電子マネーの対応店舗、通販で商品購入後に返品をして現金に換えることです。suicaインターネットサービスを使えば、アマゾン等で商品を購入することもできます。
返品によるスタンダードな方法としては、コンビニに行き、ある程度の金額の商品を購入して、返品を依頼し、その後に現金を手渡しで受け取ります。コンビニやお店なら場所や地域に関係なく誰でも実行できるというメリットがあります。suicaカードで切符を購入することも大きな枠で見れば返品に含まれます。また、換金性の高い商品をsuicaで購入して「転売」する方法があります。
モバイルsuicaを現金化する払い戻しの方法
モバイルsuicaの特長と現金化のメリット
モバイルsuicaは携帯端末からsuicaのチャージや機能を利用できる電子マネーです。suicaカードを携帯版にしたのと同じと考えてよいでしょう。モバイルsuicaのメリットは、suicaカードと違い券売機に並ぶことなく手元の端末でチャージできることにあります。登録済みのクレジットカードを使い上限20,000円までチャージできます。クレジットカード以外にもモバイルsuicaに対応しているチャージ機やコンビニのレジでチャージ可能です。ただし、端末の操作だけでチャージできるのは、銀行チャージとクレジットカードだけで、2019年に終了した銀行チャージを除けば、2020年現在はクレジットカードのみが端末の画面操作ですぐにチャージできる方法です。チャージが手軽で現金化における利用の幅を広げます。
また、モバイルsuicaは使えるクレジットカードの種類に制限が無く、登録時にビューカードや各種クレジットカードで登録するだけです。このとき、デビットカードやプリペイドカードは登録できないことに注意します。さらに、クレジットカードがなくても電子マネーとしてアプリで使える「EASYモバイルsuica」が登場したので、現金チャージでモバイルsuicaの利用を始められます。クレジットカードを持てない人や登録したくない人が残高の現金化をするにはEASYモバイルsuicaで事足ります。
モバイルsuicaの払い戻し
モバイルsuicaにチャージした際に、残高の払い戻し手続きができます。suicaカードと違う点は、銀行口座に入金されることです。定期券やsuicaグリーン券の場合は支払い用銀行口座に、残高の払い戻しは登録してある銀行口座に支払い処理してくれます。モバイルsuica特急券は事前に払い戻しを手続きしておく必要があることに留意します。以上、登録している銀行口座によっては、返金場所が異なることがあります。どの払い戻しがどこに返金されるのかをあらかじめ確認しておきましょう。
もう1点、モバイルsuicaが違う点は、デポジットの返却が無いことです。suicaカードでは預け金の500円が返金されます。しかし、モバイルsuicaでは登録時に預け金が無いため、当然ながら預け金の返金もありません。手数料は、定期(グリーン券含む)や残高で220円、モバイルsuica特急券だけは1枚につき320円がかかります。グリーン券や残高を複数払い戻しするときは、手数料は各項目に加算されます。例えば、残高1,000円とモバイルsuica特急券(4,000円)を払い戻しすると、残高の1,000円から手数料220円を引き、さらに、特急券の4,000円から手数料320円を引いた合計4,450円が返金の金額です。定期券と残高を同時に返金する場合は、220円の手数料だけです。定期券と残高、そこにグリーン券も払い戻しする場合、手数料は2つ分の220円×2=440円が発生します。
モバイルsuicaを現金化できる返品の便利さとその欠点
suicaポケットが現金化できないネック
モバイルsuicaはsuicaカードと同様に返品を活用した現金化をすることができます。ただし、電子マネーの残高に返金できるようにしたsuicaポケットと呼ばれるシステムがあります。suicaポケットは、一時預かりの要領で返金された支払いをプールします。そのため、決済後に返品しても現金は手渡されず、残高に返金をしに手続きすることになります。したがって、コンビニでは返品しても現金にならないケースがあります。ただし、通販などでは電子マネーの一部の返金方法が現金であるケースもあるので、現金化に利用する際はあらかじめ返品後の返金決済がどのように行われるかを確認する必要があります。
アプリで乗車券購入後の返品は退会のみ現金化が可能
商品の購入ではなく、乗車券の購入とその返金の場合、現金による受け取りが可能です。払い戻しにも関連して、suicaグリーン券など220円の手数料はかかるが、返品を目的とした払い戻しによる返金を退会の時点で受けられます。ただし、退会せずにモバイルsuicaの携帯端末画面でsuicaグリーン券などの乗車券を返品すると、クレジットカードに返金される仕組みなので、現金化できません。このように、モバイルsuicaには欠点があります。
suicaを最大限活用した現金化を行うには
suicaには、suicaカードやモバイルsuicaの種類があります。現金化するにはそれぞれの特徴を押さえて、発行・利用を開始することが必要です。払い戻しでは「退会」を意味してしまい、返却を必要とするので気軽には行えません。その一方で、返品や業者を利用した現金化はカードやアプリの会員登録を残したままキャッシュに換えることができるわけです。すでに利用しなくなった旧suicaカードを所持している場合や交通機関に別の電子マネーを利用する場合は、払い戻しで現金化するのが効率的です。状況に合わせて現金化の方法を検討しましょう。