2018年の時点で、日本国民のクレジットカード所持率は80パーセントを超えています。2019年10月のキャッシュレス・消費者還元事業で注目を浴びたことにより、スーパーやコンビニ、コーヒーショップなどの少額の決済にもクレジットカードが気軽に使われるようになりました。タッチ決済できるカードも増えてきて、ますます便利なクレジットカードですが、利用のしかたによっては消費者側が手数料を支払わなければならない場合があることをご存じですか?今回は「クレジットカードで支払った場合、消費者側が負担することになる手数料」に着目し、掘り下げていきたいと思います。
消費者が負担する手数料①分割払い手数料:クレジット決済の3回払いから手数料が発生!安易な分割払いに注意
ブランド物や家電製品など、欲しいけど、今買うのはお財布がイタイな…、と思ってしまうようなモノはいろいろありますね。そういったモノも、クレジットカードを使えばその場で買って自分のものにすることができます。一括払いだと来月に大きなしわ寄せがきますが、何回か分割して払うのであれば、負担が分散されるので助かりますよね。
ですが、3回以上のクレジットカードの分割払いは、私たちの負担が分散される代わりに利子が発生し、消費者はカード会社に手数料を支払うことになっているのです。この諸費用を含む手数料のことを「実質年率」といい、実質年率はカード会社によって異なります。(※1)
仮に「MUFGカード」の場合ですと、10万円のものを10回払いで購入した場合の実質年率は14.50パーセントとなり、手数料の合計額は6,800円。総支払い金額は106,800円となります。(参考:利率・手数料について※2)
10万円に対しての手数料6,800円を、高いと思うか安いと思うかは人それぞれあると思います。分割払いの買い物がこれひとつだけなら、6,800円払って支払いの負担が減るならお安いものかもしれません。ですが、こういった分割払いの買い物が毎月のように続いてしまったら、手数料の金額もどんどん増えてしまい、気がつけば総額はかなりの金額になり家計を圧迫してしまった…、といったケースも多いですので、分割払いにはじゅうぶんに注意をして管理を行った方が良いですね。
また実質年率は、支払い期間が長引くほど高くなります。「毎月の負担がラクになるから…」と長い支払期間を選ばず、節約をしてでも短い支払期間で早く支払いを済ませてしまったほうが、消費者の支払う手数料額は少なくて済みます。分割払いは2回までなら無料で利用できますので、ちょっと頑張れば2回で払えるという人は、ぜひそちらを利用してください。また、ボーナス一括払いも手数料無料ですので、ボーナスがある方はそちらも検討すると良いですね。
※2今回紹介したMUFGカードのサイトは、分割払いの手数料計算シミュレーションもできますので、お持ちの方は参考にしてください。
消費者が負担する手数料②リボ払い
分割払い以上に気をつけなくてはならないのが、リボルビング払い、通称リボ払いです。リボ払いは分割払いと違って、回数を決めて払うのではなく、金額を決めて払っていく方法です。1ヵ月に5,000円ずつ支払っていくコースが一般的です。リボ払いの金利も表記上の実質年率は15パーセントですが、期間が長いため莫大な手数料がかかります。
仮に20万円のものをリボ払いで購入した場合、1ヵ月に5,000円ずつ支払っていくコースの手数料は5万円を超え、総支払額は25万円以上となります。そして、気になる支払い回数は40回。なんと20万円を3年以上かけて返していくことになるのです。リボ払いを5,000円のコースから1万円のコースに変えれば手数料は約半額になります。それでも返済は1年半かかりますから、リボ払いはせずにできるだけ回数のすくない分割払いに変えたほうが良いでしょう。
リボ払いの怖いところは、月々の返済額が少額なことから、借金に対するハードルが下がってしまうことです。リボ払いは支払い残高が大きくなると、それに比例して手数料も上がっていきます。リボ払いでの買い物を重ねた結果、気がついたらあっという間にクレジットカード利用枠の限度額まで行ってしまって、支払い残高もふくれあがる…。ですが、いちどついた借金ぐせはなかなか直らず、新しいカードをつくってまた同じことを繰り返し…そして自己破産へつながっていく人が多くいるのです。
クレジットカードのリボ払いが普通に使ってるうちに68万も残っていて、それを一括返済したいのでよろしくお願いします!
— さんけつ (@kininarumon0528) November 13, 2019
リボ払いは膨大な金利を獲得できるため、クレジットカード会社にとって大変な利益になる商品です。そのため、あの手この手でリボ払いを勧めてきます。誘惑に負けず、できるだけリボ払いを利用しないことが賢明です。
消費者が負担する手数料③キャッシング
クレジットカードを使ってATMなどからお金を引き出すキャッシングにも手数料がかかります。キャッシング手数料はショッピング手数料よりも割高なことが多く、ショッピングが15パーセントだとするとキャッシングは18パーセント程度になります。金利が上がるため、キャッシング利用に注意は必要ですが、出先で急に現金が必要になった時などにキャッシングは便利ですよね。
例えば5万円を1回払いでキャッシングした場合の手数料は、手数料18パーセントの場合700円未満。これなら急場を救ってくれた便利代と思えば納得がいく値段ですね。キャッシングも返済回数をできるだけ少なくすれば、手数料は安くなります。
また、海外旅行の際は円の現金を持っていき、現地の両替所で現地の紙幣に両替するよりも、クレジットカードでいきなり現地の紙幣をキャッシングしたほうがレートの良い場合も多々あります。(国や地域によって状況は異なります)このように、キャッシングは大きな金額を借りてしまうとリスクが大きいですが、使い方によってはメリットになる部分もありますね。
(海外旅行・両替) 到着した現地の国際空港のATMでクレジットカードによるキャッシングがおすすめ。両替窓口に比べて早くて、ゴマかされることもない。キャッシングなので利息が発生するが、両替手数料と比較するとどっちもどっち。帰国後にすぐ繰り上げ返済すればほとんどはキャッシングの方が有利。
— bergamo (@bergamo9) August 15, 2019
そしてキャッシングにもリボ払いは存在します。ショッピング利用と同じくリボ払いはオススメしません。
余裕ができたら繰り上げ返済を利用しよう
ちょっと使いすぎたな…と思うときや、リボ払いが重なってしまったとき。ちょっとでも金銭的に余裕ができたら、そのお金は貯めておかずに繰り上げ返済に回すことをオススメします。なぜなら、そのままでいたら取られてしまう手数料が、繰り上げ返済によって少し安くなるからなのです。リボ払いの一部でも繰り上げ返済すれば、利率が変動して支払い残高をかなり減らすことができるでしょう。クレジットカードを利用できる限度額に余裕も生まれますから、次に困ったときの備えにもなります。
繰り上げ返済の方法は、下記の2つの方法があります。
2.銀行・コンビニATMへの入金
②の銀行・コンビニATMへの入金は基本的にリボ払いの繰り上げ返済にのみ対応しています。詳しくは、ご利用のカード会社に直接お問い合わせください。
クレジットカードは店側につく手数料もある
“クレジットカードご利用の際は、〇パーセントの手数料を頂戴します”
クレジットカードが使える店舗のレジでこのような張り紙を見かけたことはありませんか?実は、クレジットカードの利用者だけではなく、決済を取り扱っている店舗側にもクレジットカード会社に支払う手数料が存在するのです。これは「加盟店手数料」と言います。
基本的に店舗側がクレジットカードを導入したいと思ったら、クレジットカード会社と加盟店契約をむすばないとクレジットカード決済が利用できないことになっています。そして加盟店は、クレジットカードで支払われた売上の中から数パーセントをクレジットカード会社に支払わなければならない決まりがあるのです。
手数料の割合は、店舗の種類によって異なりますが、大まかに言うと下記の通りになります。
店舗の形態 | 加盟店手数料 |
---|---|
飲食店 | 5%程度(水商売の店舗はさらに高い) |
小売店 | 4%程度 |
デパート・百貨店 | 2%程度 |
コンビニ | 1%程度 |
上記のように、平均すると3パーセント程度の加盟店手数料が必要なようです。
売上の中から、これだけの手数料をクレジットカード会社に納めなければならないのはかなりお店側も痛いはずですが、それでもクレジットカード対応にするメリットはあるようです。
ポイント目当てなどでクレジットカードを利用している顧客を取り込める(集客につながる)
会計の間違いが減る
釣り銭の用意がラクになる
顧客ひとりに対する購入単価が上がる
ざっと挙げただけでも、上記のメリットをお店側は受けることができます。
5つ目の「購入単価が上がる」点に関して、人はクレジットカードを使うと余計な買い物をしやすい、という調査結果が出ているほどです。クレジットカードに対応することで新規顧客の獲得も期待できるため、多少の加盟店手数料を支払っても店舗側にはメリットがあるのです。
ですが、店舗側が支払う加盟店手数料を顧客するのは加盟店の規約違反です。
最初に述べた
“クレジットカードご利用の際は、〇パーセントの手数料を頂戴します”
これをやっている店舗は美容院やネイルサロン、エステ等の美容系店舗に多いようです。
新規で予約してたサロンがクレカ手数料取る記載があったからキャンセルした。電話で「手数料取るのは規約違反って知ってるんですか?」って聞いたら堂々と「私は知りませんけど…」と、新入社員がやっちゃいけない電話応対として教えられるであろうテッパンの返しをされて半笑いになった。
— みるる (@miyou1045) October 28, 2018
うちみたいなサロンや美容院等でクレジットカード手数料という名目で数%の上乗せを求められたら「これは契約違反ではないですか?」と強気に言いましょう💡
お客様と店ではなく店とカード会社の契約で手数料を取ってはいけない!と明確に定められているのです🍀
店がこだわるのはそんなとこじゃない😣— 美容クリニックコンサルタントちゃん (@biyoushikakatan) June 12, 2018
美容系の店舗は、施術者がそのまま店の責任者になっているケースが多いので、金融系のリテラシーが低い可能性が高く、あまり深い考えなしにこういった手数料の上乗せをしている店舗が多いです。レジにあらかじめ断り書きをしている店舗はまだ良いほうで、ひどい店になると会計の際に伝えてくるところもあります。最初から知っていればそのお店を避けるなど対策ができるのに、すべて終わったタイミングで伝えてくるのはどうかと思うやり方ですね。
こういった被害を受けた場合は、カード会社に規約違反の報告をすれば店側に指導をしてくれるはずですので、相談してみるのも良いですね。
クレジットカードはなるべく一括払いで使おう!キャッシュレス還元でポイントをゲットして現金よりおトクに
ここまで、クレジットカードの手数料について解説しました。クレジットカードによる手数料は、一括払いを選べば「クレジットカード会社に1ヵ月たてかえてもらうだけ」なので手数料はかかりませんし、キャッシュレス還元で購入時にいくらかお安くなります。
さらに、それとは別にクレジットカード自体のポイントもついてきますし、マイルが貯まるカードもあります。一括払いやボーナス一括払いを利用すれば、手数料が一切かからない上にポイントによる景品や、貯まったマイルによる特典旅行ができるチャンスがついてくるわけです。これらはすべて現金で支払っていたら手に入らないもの。消費者にとってはかなりおトクなので、利用しない手はないですよね。使えば使っただけポイントは貯まりますので、光熱費や通信費、電子マネーのチャージなどと併用すると、早く景品や特典旅行をゲットできますよ。
手数料をシビアにとらえ、余計な出費を抑えて、計画的にかしこくおトクにクレジットカードのお買い物を楽しみましょう!